【暴走Ⅲ その壱 】

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竜兄がその後に来たけど、お弁当を作ってバタバタ家を出た。 いつもの様に過ごす日々。 何度か蓮兜兄の所に行こうと考えたけど、翔兄の言葉を思い出しやめた。 そんな毎日が過ぎ、気付けばもう12月。 翔兄はあれ以来、組の仕事にのめり込む様になった。 地方の傘下の組へ出向いたり、なんか忙しさで寂しさを紛れさせてる様だった。 あまり、家に帰る日も少なくなって顔を合わす事もたまにしか無かった。 竜兄は相変わらずで、毎日ウチに顔を出し仕事に出向く。 週末は竜兄と過ごした。 紗江先輩と会長も相変わらずで、一応受験生なんだけどと、思う様な感じだ。 そんなある日、蓮兜兄からメールが来た。 昼休みに保健室に来てくれないか。と、いうものだった。 きっと、翔兄の事だとは思うけど。 とりあえず、紗江先輩と会長には言って保健室へ出向いた。 「西極です。失礼します。」 保健室に入ると、蓮兜兄は椅子に座りこちらへクルッと回って、ニコッと笑った。 でも、その笑顔は悲しく見えた。 『ごめんね。呼び出しちゃって。紗江ちゃんと來希は大丈夫?』 「はい。ちゃんと、蓮兜兄の所に行くからって言いましたから。」 蓮兜兄の横にある椅子に座った。
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