【暴走Ⅲ その四】

24/75
前へ
/334ページ
次へ
『何?それまでは隠してたわけ?』 ジニーが言った。 「うん。隠してた。カツラとかカラコンでね。今も学校にはカラコンして行くよ。さすがにこの瞳じゃね。」 苦笑いの私。 『何で?すげぇ綺麗な瞳じゃん。隠す事ないだろ。』 セルが言う。 「ありがと。でもね。私、最近まで自分の髪も瞳も嫌いだったんだよね。嫌な思い出しかなくてさ。竜兄が救ってくれたから、今こうして居られるんだ。竜兄が銀髪なのも私が泣いてたからだしね。」 竜兄の髪を見る。 『蘭花はな。髪の色のせいで虐められてたんだよ。俺が日本を離れてからずっと酷い目に合ってた。その時、誰も気付いてやれなくて、気付いた時は自分を隠す様になってたんだ。俺が一度仕事で日本に帰った時があっただろ?あの時、蘭花に7年振り位に会えたんだけど、その時はこいつのこの髪は血まみれだった。瞳の色はその時に初めて変わってたんだ。』 竜兄の話に3人は驚いていた。 「瞳の色はね。総取締役になってからなの。変わったのが。それまでは普通の色だった。その前に一回だけ、竜兄がちょうど帰った時だけ瞳の色が変わったの。無意識に自分を守る為だったみたいだけど。学校で髪の色が気持ち悪いってずっと虐められて、そんな時に仲良くなった女にね。信頼してた人に裏切られて男達に襲われそうになったの。その時、私は覚えてないんだけど無意識でその場に居た奴らを全員血まみれにして倒してた。そしたら、その中の一人が私を見て化け物だって。髪も瞳も化け物だって言ったの。ずっと虐められてきたから。この髪は特に嫌いだった。何度も自分で切ったしね。本当に最近だよ。こうやって普通に人前に出す様になったのは。」
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加