【暴走Ⅲ その壱 】

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【全国暴走族総取締役 西極 蘭花】 その肩書きがついたのは、16歳になった日だった。 初めは戸惑い、どうしたらいいのかさえ分からなかった。 人を信じる事をやめた私には、重荷でしかなかった肩書き。 右腕と称し私の側にいつも居た、輝条 竜。 私の知らない所で動き出す様々な出来事が、私に試練を与え苦悩する日々。 心から人を信じてみようと思った時に裏切られた時の絶望。 心から愛する人を失いかけた失望感。 本気で死にたいと身体を投げ出した瞬間。 愛する人を忘れる為に失った記憶。 それと同時に私を救ってくれた家族や親友、親しい人々。 逃げる事で忘れ去っていた過去の傷痕。 戸惑い、苦しみ、辛く、絶望を味わった日々。 だけど、それを全て打ち砕く程の喜び や楽しさ、愛しさ、そして自信。 そして、心から愛していると言われた嬉しさ。 総取締役を就任してから、約1年半。 本当に私の周りでは色んなことがあった。 だけどそれは、私にとって人生の大きな成長を加勢してくれた出来事。 人を信じる事、愛する人を守る事、自分の過去を乗り越える事。 その全てを教えてくれた。 だから、私は成長できたんだ。 今、私は胸を張って言える。 【全国暴走族総取締役 西極 蘭花】 だと。
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