【暴走Ⅲ その壱 】

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『あのさ。何で呼んだか分かってるんだよね。』 少し俯きながら蓮兜兄が言った。 「翔兄の事だよね。」 『ん。何か翔から聞いてる?』 「何も聞いてないよ。蓮兜兄が最近来ないから、聞いてみたけど。蓮兜兄が忙しいからって。」 『それで、納得してる?』 「してないよ。だから、ケンカしたのか?とか、浮気したの?とか、呆れられたんじゃないのか?って、色々聞いてみたけど。」 『で?翔は何て?』 「浮気じゃないけど、似たようなものかもな。って。蓮兜が距離を置いて考えたいって言うから、それまでは何も話せないって。二人の問題だから。って言ってたよ。竜兄も私も二人の問題に口を出す気はないから。でもね。蓮兜兄。いつまでも待たせてたら、翔兄潰れちゃうよ。」 私の言葉に俯き何も言わない蓮兜兄。 「何があったのかは聞かないけど。翔兄にも蓮兜には何も言うなって言われてるけど。だけど!」 やめた。 翔兄が泣いてたなんて言ったらダメだ。 蓮兜兄を責める様な事、言えない。 『ごめんね。蘭花ちゃん。おれもどうしたらいいか分からないんだ。翔の事考えると辛くて苦しんだ。』 涙を堪える蓮兜兄が分かった。 「ごめん。蓮兜兄。責めるつもりはないの。ただ、翔兄と蓮兜兄にはいつも一緒に居てほしいから。幸せに笑っててほしいから。蓮兜兄。後悔しない様にきちんと答え出して。どういう結果になっても私は二人の味方だから。」 『ありがとう。蘭花ちゃん。翔。元気にしてる?無茶してない?』 やっぱり、心配なんだ。 「ん。最近、組の仕事にのめり込んでるみたい。あんまり、家に居ないからたまにしか会わないけど、元気だよ。」 ニッコリ笑って蓮兜兄に言った。 『そっか。ありがとう。蘭花ちゃん。本当にごめん。心配かけて。竜にも言っといて。』 「ん。伝えとく。じゃあ、私行くね。」
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