【暴走Ⅲ その四】

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「大丈夫。今があるから。辛くて苦しかった分、竜兄が私を愛してくれたから。だから、大丈夫。」 ニッと笑った。 『やっぱり我慢出来ねぇ。蘭花。部屋に戻るぞ。てめぇら、さっさと寝ろよ!』 ぼけっとしてる3人を他所に私の手を取り部屋に戻る竜兄。 一応、おやすみは3人に告げた。 隣の部屋に入った途端、抱きしめられ深くキスをされる。 「…ッア…たつ…」 その声に反応するのは愛しい人で。 『…蘭花…可愛い…浴衣。』 会うたびに一緒に居るたびに愛を確める。 それでも愛が溢れ出す。 耳元で囁く愛の言葉が私をいつも蕩けさせるんだ。 身体の奥から溢れる愛に溺れる。 愛する程に愛しい。 愛しい程に愛する。 どこまでこの人を愛しいのだろう。 想像もつかない。 自分でも分からない程、底なしの愛が溢れてる。 『蘭花…』 わたしの言葉に反応する愛する人がまた可愛い。 今度は私が愛する人を見つめる。 「…すき…。」 『浴衣。色っぽいな。』 髪を撫で背中にキスを落とす。 「……竜兄も色っぽい。」 仰向けに向き直り首に手を廻すと、深くキスをする。 『声。聞こえたかもな。』 えっ? 「……まさか。無いでしょ。旅館だし…。まさか。ねっ。」 たぶん大丈夫。……だと思う。
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