【暴走Ⅲ その四】

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朝。 隣の部屋に3人を起こしに行った竜兄と私。 今日、夕方の飛行機で帰るから少しお土産でも買いに連れて行くと竜兄が言っていた。 「ジニー!ロン!セル!朝だよぉ~!」 襖をバッと開けて3人に声をかける。 竜兄は蹴っていた。 おいおい。可哀想だろ。朝から。 『…えぇ~。もう朝?もう少し寝かせて。』 ロンが布団を頭から被った。 竜兄がロンの布団をめくりあげる。 『起きろよ。土産買いに行くぞ。時間ねぇから、さっさと起きろ。てめぇらも。』 ジニーとセルの布団も取り上げた。 『…眠い。夕べ、寝れなかった…。』 ジニーが目を閉じたまま呟く。 『…蘭花の厭らしい声が微かに聞こえたから、想像したらねつけなかった…。』 ……セル? ………マジ? いや。旅館だよ?普通、そう言うの聞こえない造りだろ? 『聞こえるか?普通。てめぇら、何処に居た?』 竜兄がロンの上に乗っかった。 『…竜…重い。…窓…窓開けたら聞こえた。』 潰されながらロンが答えた。 『竜。部屋の窓少し開いてたんじゃないか?』 何?!マジか?!ジニー? 『微かにだけど蘭花の声だったな。俺達も何だかんだで、最近ご無沙汰だからな。寝れねぇだろ。』 セルが起きて言った。 「……すいません。」 私と竜兄が悪いらしい。 『んなもん。蘭花を想像すんな。早く起きろ。』 あー。竜君? ロンは君に潰されてるけどね。
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