【暴走Ⅲ その四】

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『まぁ。それもだろうけどな。蘭花の笑顔にやられてたな。あいつら。蘭花が笑いかける度に抱きつきやがって。』 竜兄が言うと 『そうかもね。蘭花ちゃんの笑顔は最強だよね。』 蓮兜兄が言った。 「それより、父さん達まだかな?夕食どうするんだろ。蓮兜兄。何か作る?」 『ん?あぁ。もう、作ってあるよ。矢部さんとおれで作った。ロールキャベツだけど。』 蓮兜兄が答えた。 「本当?!助かる。ありがとう。蓮兜兄。そう言えば、矢部さんどうだった?」 あれから矢部さんには会ってない。 『あぁ。親の墓に行ったみたいだな。墓から寺に骨も位牌も預けたみたいだぞ。もう二度と行かないつもりみたいだな。あいつなりのケジメだろ。何かスッキリした感じで表情も変わって帰って来たから、もう大丈夫なんじゃねぇか。』 翔兄が言った。 「そう。良かったね。いつまでも過去に縛られても前に進めないからね。覚悟決めて西極組に来たんだろうし。新しい人生歩まなきゃ駄目だと思うし。」 『矢部さんも、蘭花に会えて良かったかもな。前に進む事を知れたから。』 竜兄が私を見て言った。 『ん。そんな事、言ってたよ。蘭花お嬢には感謝してもしきれないって。自分の人生を変えてくれたって。』 蓮兜兄が微笑んだ。 「人生変えるかどうかなんて、他人が出来る事じゃないよ。自分がどうするか次第だし。矢部さんは自分で自分の人生を変えたんだよ。」
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