【暴走Ⅲ その四】

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自分の人生、変えるかどうかなんて自分自身で決断しなければ他人が何を言ったところで変わらない。 誰の人生でもない自分の人生だから。 『親父も矢部の顔見ればすぐに分かると思うぞ。いい顔してた。』 翔兄が微笑んだ。 「良かったね。」 そんな会話をしていたら、父さん達が帰って来た。 『ただいま~。翔。志稀、寝ちまったから部屋に寝かせろ。』 父さんが志稀を抱っこしてリビングに入ってきた。 翔兄は志稀を父さんから抱き上げ部屋に向かった。 竜兄のお父さんとお母さんも一緒だ。 詩音さんはお土産の袋を沢山持って帰って来た。 「お帰り。楽しかった?」 『楽しかったわよ。観光地も廻れたし。これ、お土産。分けてね。』 詩音さんが何か色々買って来ていた。 まぁ。ほぼ食べ物だったけど。 『蘭花ちゃん、竜。はい。これ、二人にお土産ね。』 竜兄のお母さんが一つの箱を手渡した。 「ありがとうございます。何ですか?これ。」 『開けてみて。気に入ると思うわよ。』 そう言われ開けてみた。 包装紙を取ると桐箱。 何だ? そして、箱を開けたら凄く綺麗な紅と碧のグラスだった。 「凄い。綺麗なグラスですね。ほらっ。竜兄。」 竜兄に見せた。 『本当だな。』 竜兄もじっとグラスを見た。 『それ。あれだぞ。薩摩切子。綺麗に堀込んであるだろ。母さんが蘭花ちゃん、ビール好きだからって竜と一緒に呑める様にってな。』 竜兄のお父さんが言った。 「ありがとうございます。そうします。竜兄とビール呑む時に使いますね。」 『薩摩切子って、鹿児島まで行ったのかよ。』 そうだよね! 『ん?あぁ。九州を色々廻ったな。色んな温泉も入れて楽しかったぞ。』 へぇ~。そうなんだ。 詩音さんのお土産を組員さん達用に分けた。 「父さん。ずっと組空けてたんだから、ちゃんと顔出してよ。はい。これ組員さん達に持って行って。」 父さんに袋を持たせ事務所に行く様に言った。 『だな。顔出しとくか。』 父さんと詩音さんは立ち上がり事務所へ行った。
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