【暴走Ⅲ その四】

47/75
前へ
/334ページ
次へ
『じゃあ、蘭花ちゃんにお土産も渡したし私達はそろそろ帰るわね。あっ。これはお菓子だからお友達と分けて。』 竜兄のお父さんとお母さんが立ち上がった。 『もう帰るのか?』 竜兄も立ち上がり聞いた。 『あぁ。このまま空港に行く。明後日から仕事だからな。また出て来るよ。』 竜兄のお父さんが言った。 「あっ。そうだ。これ、箱根の温泉饅頭なんですけど。お土産に。」 お土産を一箱手渡した。 『あらっ?蘭花ちゃんも竜と温泉行ったの?』 『ジニーとロンとセルが来たんだよ。で、箱根の温泉入りたいって言うから連れて行ったんだ。』 お母さんに答える竜兄。 『あいつらが来てたのか。休み取れたんだな。忙しそうなのにな。久しぶりに会えて良かったな。竜。』 『あぁ。蘭花見てすげぇはしゃいでたぞ。』 『だろうな。あいつらにも蘭花ちゃんみたいな子、出来ればいいけどな。まぁ。今度あったらまた話聞いてみるよ。じゃあな。』 竜兄がお父さんと会話をして、それから玄関まで見送った。 「竜兄のお父さんとお母さんもあの3人知ってるんだね。」 『まぁな。いつも警察に引き取りに来んのは俺の親父だったからな。あいつらの事も一緒にな。で、帰りは皆して親父の説教だったしな。今はイベントとかする時に、あいつらを呼ぶみたいだしな。あいつら、どんなに忙しくても親父の会社のイベントには行くみたいだしな。最近じゃあ、俺より親父の方があいつらと会ってんじゃねぇか?』 「へぇ~。そうなんだね。竜兄のお父さん。世話好きなんだね。」 『昔はウザくて仕方なかったけどな。でも、今は感謝してる。親父に言われなければ何も考えてなかったかもしれねぇし。蘭花を守る為にするべき事を考えさせてくれたのは親父だからな。』 そうだったね。 「じゃあ、私も竜兄のお父さんには感謝しなきゃね。」 そう言って微笑んだ。 竜兄に頭を撫でられ、またリビングへ戻った。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加