【暴走Ⅲ その四】

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リビングに戻ると翔兄も父さん達もソファーに座っていた。 「竜兄のお父さんとお母さん。このまま帰るって。見送ってきた。」 私と竜兄もソファーに座る。 『うん。蘭花にお土産渡したら、すぐ帰るって言ってたから。』 詩音さんが言った。 「色んな所に行ったんだね。」 テーブルに置いてあるお土産を手に取り見る。 『あぁ。志稀も色んな場所に行けて楽しそうだったぞ。九州はほぼ廻ったな。』 そんなにかい! 「竜兄のお父さんとお母さんも疲れたんじゃない?そんなにつれ回して。ゆっくりするはずだったのに。」 『大丈夫だろ。あの人達、色々見るの好きだからな。逆に楽しめて良かったと思うぞ。』 竜兄が言った。 『お前ら正月。何してたんだ?』 父さんに聞かれた。 『親父達が行った日は呑んでたな。矢部も引っ張り込んで。』 翔兄が答えた。 『矢部もか?珍しいな。あいつが一緒に呑むとか。』 父さんは少し驚いてる。 「最初は無理矢理ね。でも、呑みだしたら楽しかったよね。」 『親父。まだ矢部に会ってねぇのか?』 『事務所には居なかったから、交代で飯食ってんじゃねぇか?』 『そうか。』 翔兄は何も言うつもりは無いらしい。 父さんと矢部さんの事だから。 言わなくても父さんには分かると知っているから。 『で?その後は?』 詩音さんはお菓子を開けながら言った。 『別荘に行ったな。さみぃのに海に。紗江ちゃんと來希も一緒に。1日だけ泊まって俺と蓮兜はそれからはゆっくり過ごしたけどな。』
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