【暴走Ⅲ その壱 】

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金曜日。 今日は竜兄の家に行く。 社長室に出向くき、声をかける。 「竜兄。ただいま。」 中に入ると、あの声。 『こんにちは。蘭花ちゃん。』 飯田さんだ。 「あっ。こんにちは。飯田さん。すいません。いつも仕事中に。あれ?竜兄…じゃなかった。社長は?」 部屋を見渡して竜兄が居ない事に気付いた。 『社長は今、別な件で下に行ってるの。私も書類持ってきたところよ。』 えー。飯田さんと二人とか。 私、この人苦手なんだよな。 「あー。そうですか。じゃ、待ちましょうか。コーヒー飲みますか?」 荷物を置いてコーヒーメーカーの置いてある場所へ行く。 『あらっ。気が利くのね。ありがとう。いただくわ。』 飯田さんはソファーに座った。 コーヒーを入れ飯田さんの前に置く。 「どーぞ。インスタントですけど。」 私もソファーに座り、コーヒーを飲む。 『ありがとう。コーヒーなんて似たような味よ。』 そうか? 「いや。飯田さん、社長令嬢だって聞いたので。インスタントとか飲まないのかなと思いまして。」 別に嫌みじゃないよ。 『社長に聞いたのね。今は勉強中よ。パパの会社じゃ気を使われちゃうからね。それに、聞いたと思うけどモデルしてるから、結構顔知られてるのよ。だから、日本の会社でってね。』 「そうみたいですね。大変ですね。わざわざ日本まで。それにしても、モデルと会社経営って大変そうですね。」 私には無理だな。
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