【暴走Ⅲ その四】

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『俺。前から思うんだけどな。蘭花って人に影響与えるよな。矢部さんもだけど、來希だってそうだろ?紗江ちゃんもって聞いたし。レディースの連中もだしな。蘭花。トップに立つ素質を元々持ってるんだよな。』 竜兄が言った。 「んな訳ないでしょ。本人達が変わろうとしない限り私が何を言っても変わらないでしょ。たまたま近くに居たのが私だっただけの話だよ。私なんてトップに立てる様な器じゃないよ。ってか、無理。」 笑いながら言う私。 『トップに立てるかどうかは別として。蘭花ちゃんは影響与えてるよ。心が素直だから、思った事をスッと言えるんだよ。だから、相手にも届く。色んな事考えて言葉を選んで言うのって、案外相手にも伝わって義理で言ってるのが分かるんだよね。だけど、蘭花ちゃんの場合、そうじゃないでしょ。本当に相手の事心配して良いことも悪いこともちゃんと相手に伝える。だから、その相手にも蘭花ちゃんの言葉は影響を与える。蘭花ちゃんは普通にしてるから自分では分からないと思うけどね。』 蓮兜兄が私を見ながら言った。 『なるほどな。そう言われればそうかもな。俺も蓮兜と色々あった時に救われたな。蘭花には。いつもはケンカ腰で会話してっから気付かなかったけどな。あの時は本当に蘭花が言う、一言一言が心に残るって言うか。そんな感じだったな。』 やけに素直な翔兄。 「翔兄にそんな言われたら調子狂う。」 『それが余計なんだよ。お前は。』 あっ。いつもの翔兄だ。
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