【暴走Ⅲ その四】

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休み最終日。 朝から志稀に起こされた。 『蘭花~。朝~。起きろ~。』 部屋の外から叫ぶ声に目が覚めた。 「志稀ー!煩いよぉ。起きるから先行ってて~。」 走って居なくなったのが分かった。 『起きるか。志稀がうるせぇしな。』 上体を起こしまだ横になってる私を見る竜兄。 「ん。竜兄。今日は竜兄の家に行こう。二人でゆっくりしたいから。」 『夕べからどうした?まぁ。俺は蘭花と居れたら何でもいいけどな。よしっ。じゃあ、朝飯食ったら俺んち行くか。』 そうして、二人で起き上がり着替えて下に降りた。 リビングへ顔を出す。 「おはようございます。」 『おはようございます。』 竜兄と挨拶をして入ると 『蘭花~!おはよう♪』 志稀が走って飛び付いて来た。 「志稀~。おはよう。温泉楽しかった?」 志稀を抱き上げる。 『楽しかったよ!蘭花。ボクが居なくて寂しかった?』 おっ?生意気。 「寂しかった~。可愛い志稀が居なかったから~。志稀。蘭花にギュ~ってしてぇ。」 笑いながら言うと志稀は嬉しそうに私にギュと抱きつく。 可愛いな。志稀。 『蘭花は俺が居るから寂しくないんだぞぉ。志稀。』 志稀の頭をくしゃくしゃと撫でながらわざと意地悪を言う竜兄。 志稀はムッとしてる。 『竜さんの意地悪!』 竜兄に向かってベェ~と舌を出す志稀。 『なんだと?もう一回言ってみろ。』 そう言って、こちょこちょをする竜兄。 『キャハハ!ごめんなさい!』 「ちょっと危ないから!抱っこしてんのに!落ちる!」 身体を反らす志稀を必死に支える私。 竜兄がそのまま私から志稀を抱き上げた。 『よしっ!志稀。飯食おうぜ。』 そう言ってダイニングテーブルへ向かい椅子に志稀を座らせた。 いいコンビ。
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