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「ところで翔兄と蓮兜兄は?まだ寝てるの?」
姿が見えない。
『あいつらは明日からの増築の打ち合わせに行ったぞ。最終確認だと。』
あー。昨日設計図見てたね。
『あれですね。設計図みましたけど、あれなんか一軒家でも良かったんじゃないですか?』
竜兄が言った。
『私達もそう言ったんだけどね。何か志稀の為だって。』
詩音さんの言葉に疑問。
「志稀?」
『あぁ。翔も蓮兜もいつも家に居れる訳じゃねぇからな。そんな時に廊下1つでもこっちと繋いどけば、蘭花でも俺達でも若い衆でも居るだろ。志稀が独りだと思わねぇ様にだとよ。昔のおめぇと志稀が重なるんじゃねぇか?あいつらは。』
父さんが説明してくれた。
「なるほどね。志稀。新しいお家に行っても、ちゃんとこっちに皆が居るからね。お父さんと蓮兜君が忙しくて家に居ない時はすぐこっちに来るんだよ。分かった?」
志稀に言い聞かせる。
『うん!分かった!』
満面の笑みで答える志稀。
翔兄と蓮兜兄が今から守ってあげなくてはいけない笑顔。
「父さん達聞いた?志稀を保育園に出すって。」
『あぁ。そんな事言ってたな。わざわざ保育園なんて出さなくていいっていったんだけどな。蓮兜がそれじゃあ志稀が駄目になるからって言ってたな。』
「私もね。最初そう思ったんだけどね。同じ歳の子供と遊ばせるのが大事だって蓮兜兄に言われてさ。そうだよなぁなんて。蓮兜兄もちゃんと色んな事考えて言ってる訳だし、私達が口出しする事じゃないしね。」
『まぁ。そうだな。翔と蓮兜が決めた事だからな。志稀も強くなっていいんじゃねぇか?』
竜兄が言った。
「私達は手助け出来るとこだけだね。志稀。保育園いつから?」
『えっとね。来週?』
「そっか。沢山、友達と遊ぶんだよ。ねっ?」
『うん!友達いっぱい作るから!』
「好きな女の子出来たら教えてよ。」
『ボクが好きなのは蘭花だよ!』
『蘭花は俺のもんだぞぉ。志稀~。』
すかさず竜兄が言った。
『でも好きなの!』
「そっかそっか。蘭花も志稀の事好きだよ。」
志稀の頭を撫でる。
嬉しそうに笑ってる。
可愛い志稀。
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