【暴走Ⅲ その壱 】

23/43
前へ
/334ページ
次へ
『まぁね。でも、会社経営はまだ先の事だし。私が継ぐとは限らないからね。弟も居るのよ。念のための私なのかしらね。私の弟も蘭花ちゃんと同じ歳だし、まだ分からないじゃない。高校生の先の事なんて。だからよ。』 へぇ~。弟居るんだ。 「どっちにしても私は無理ですね。モデルも会社経営も。」 『そうかしら?出来そうだけど。私、今年いっぱいでアメリカに帰るの。その前に蘭花ちゃんと一緒に出掛けたいな。私とデートしない?』 ……デート? 「…デートですか。あー。どうでしょう?聞いてみないと。」 って、何故私? 『じゃあ、社長が許可したらデートしてくれる?』 無理だろ。 「あー。そうですね。その時は。はい。」 ちょうど話が終わった時に竜兄が帰って来た。 『おぉ。蘭花。来てたのか。悪いな。あー。飯田さんも。すいません。待たせて。』 「大丈夫。コーヒー飲んでたし。じゃあ、私先に帰っとくから。」 竜兄に鍵をもらい、飯田さんに頭を下げ部屋を出た。 竜兄の家に入りお風呂を掃除して、お湯をためながら考える。 飯田さんって、何考えてるのか分からない。 あの時の嫌な笑みはなんだったんだろう。 でも、今日は感じが良かった。 竜兄を狙ってるのは確かだし。 だって、諦めないとか言ってたし。 ライバルの私をデートに誘うとか。 ってか、デートとか。 本当に何考えてるのか分からない人だ。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加