【暴走Ⅲ その壱 】

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キッチンを見ると、竜兄がすでに夕食を作り終え、テーブルに並べていた。 『蘭花。さっきはごめんな。あまりにも可愛いくて。つい。ほらっ。お詫びにご飯作ったから、温かいうちに一緒に食うぞ。』 ……狡い。 どんなに腹が立っても、いつもそうやって優しくして。 竜兄は狡い。 私の扱い方を全て知り尽くして。 「……うん。」 結局、文句も言えないんだ。 竜兄には敵わないな。 『旨いか?』 「ん。凄く美味しい。一緒に作って覚えたかったのに。今度、教えて。」 『あぁ。分かった。機嫌直ったか?』 私ってば、単純過ぎるでしょ。 忘れてたしね。 「…忘れてた。」 また笑われたし。 もう、いいです。 「竜兄さ。最近、自分で作って食べてるの?材料揃ってたけど。」 『あ?あぁ。そうだ。この間、蘭花が心配してたからな。ちゃんと食事しないとなって思って。たまに、買いだめしてる。』 「そうなんだ。ちゃんと食べなきゃね。体力もたないよ。偉い偉い。」 『そりゃどうも。』 ご飯を食べ終わり、片付ける。 「竜兄。お風呂入っていいよ。私が洗い物するから。」 『ん。分かった。じゃ、頼むな。』 洗い物を済ませ、ソファーで寛いでいたら竜兄が来た。
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