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キッチンを見ると、竜兄がすでに夕食を作り終え、テーブルに並べていた。
『蘭花。さっきはごめんな。あまりにも可愛いくて。つい。ほらっ。お詫びにご飯作ったから、温かいうちに一緒に食うぞ。』
……狡い。
どんなに腹が立っても、いつもそうやって優しくして。
竜兄は狡い。
私の扱い方を全て知り尽くして。
「……うん。」
結局、文句も言えないんだ。
竜兄には敵わないな。
『旨いか?』
「ん。凄く美味しい。一緒に作って覚えたかったのに。今度、教えて。」
『あぁ。分かった。機嫌直ったか?』
私ってば、単純過ぎるでしょ。
忘れてたしね。
「…忘れてた。」
また笑われたし。
もう、いいです。
「竜兄さ。最近、自分で作って食べてるの?材料揃ってたけど。」
『あ?あぁ。そうだ。この間、蘭花が心配してたからな。ちゃんと食事しないとなって思って。たまに、買いだめしてる。』
「そうなんだ。ちゃんと食べなきゃね。体力もたないよ。偉い偉い。」
『そりゃどうも。』
ご飯を食べ終わり、片付ける。
「竜兄。お風呂入っていいよ。私が洗い物するから。」
『ん。分かった。じゃ、頼むな。』
洗い物を済ませ、ソファーで寛いでいたら竜兄が来た。
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