【暴走Ⅲ その壱 】

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土曜日。 午後6時30分 『蘭花さん。そろそろ時間です。』 漆黒の特攻服を纏い、迎えに来るのは私の右腕。 輝条 竜。 「分かった。」 部屋の壁にかけてある、大きな鏡に全身を映す。 サラシ姿の背中にバッと纏うもの。 【全国暴走族総取締役 西極 蘭花】 漆黒の背中に浮かぶ銀刺繍の文字を確認し、プラチナシルバーの髪をかきあげる。 よしっ!私は総取締役! 気合いを入れ自分に言い聞かせる。 玄関に向かい、ヒールをはけば一斉に頭を下げ見送る西極組の組員達。 その間を通り抜け門の前に待つのは、黒塗りの車。 ドアを開けて中に促す輝条。 今日は革命を起こしてから、初めての取締役会。 どんな面子を揃えて来たのか楽しみだ。 倉庫の足りないソファーやテーブルは西極組が手を貸してくれた。 翔兄が手配してくれた様だ。 今度は女も加わる訳だ。 色んなヤツが居るだろう。 もしかしたら、刃向かって来るやつもいるかもしれない。 それをどうやって纏めるかは私の仕事。 よしっ!気合いを入れて責任全うしていこう。 『何だか、嬉しそうですね。蘭花さん。』 運転している輝条が、ミラー越しに言う。 「うん。楽しみ。どんな面子が揃ってるのか。」 窓の景色を見ながら微笑む。 『頑張って下さい。最初が肝心ですよ。』 「はい。分かってます。」
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