【暴走Ⅲ その壱 】

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毎日が淡々と過ぎ、もうすぐ冬休み。 『蘭花ちゃんさ。クリスマスは、やっぱり竜さんと過ごすの?』 いつもの昼休み。 紗江先輩が聞いてきた。 「クリスマス?あー。別に予定入れてないですよ。」 私、キリスト教じゃないし。 『えっ?一緒に過ごさないの?』 会長が話にくいついた。 「何でですか?週末なら一緒に過ごしますけどね。平日は竜兄も仕事ですし。」 『何でって。普通、クリスマスはカップルだったら、楽しみなイベントの一つじゃない。竜さん、何も言わないの?』 今度は紗江先輩。 「いや。別に。だって、私日本人ですもん。クリスマスとか関係無いですよ。逆に世間の騒ぎ様が分からないですね。皆、キリスト教じゃないでしょ?」 お弁当を食べながら答える。 『まぁ。そうだけどさ。じゃあ、俺と過ごす?』 「何言ってるんですか。平日じゃないですか。まぁ。平日じゃなくてもお断りしますけど。」 会長にズバリ言う。 『でも、もう24日は終業式だからクリスマスは冬休みだよ。』 あー。そうなんだ。 紗江先輩に言われ、初めての気付く。 「そうですか。でも、私は特別何かしようとか全く思ってないので。竜兄も何も言わない辺り、私と同じじゃないですか?」 『面白いカップルだね。蘭ちゃんと竜さんって。』 そうか? 世間がおかしいだろ。 「で?お二人は、そのクリスマスに何か予定があるんですか?」 とりあえず聞く。 『私はクリスマスイベントの手伝い。お母さんに言われたからね。』 『俺もバイト。イベントするから休めないし。』 「大変ですね。クリスマスのせいで。」 『まぁね。でも、何かクリスマスの雰囲気とか私は好きだな。何かワクワクしない?街にイルミネーションとかつきだしたら。』 そう? 『あー。分かる。何となく楽しい気分になるよね。一人だけど。』 「会長、モテるんだから彼女作ったらいいじゃないですか。」 『そんな簡単に言われてもね。誰でもいいわけじゃないしね。まぁ。遊んでた頃は誰でも良かったけどさ。』 なんじゃそりゃ。 すると、私の目の前に来て笑顔を見せる会長。 『蘭ちゃんに会ってからはねぇ。なかなか、いい女が見つからない。蘭ちゃん。責任とって。』
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