【暴走Ⅲ その壱 】

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そんなこんなで金曜日。 今日は竜兄の家に行く前に買い物をする。 忙しくて行く暇が無かったらしい竜兄の代わりに。 スーパーで、何を買うか迷っていたら、聞き慣れた声。 『蘭花ちゃん。』 「あっ。瑠璃姉と佑さん。買い物ですか?」 『うん。蘭花ちゃんも?今から竜の所?』 「はい。今日、仕事終わったんですか?」 これには佑さんが答える。 『今日は病院で定期検診だったんだ。』 あー。そうなんだ。 何だか嬉しそうな佑さん。 「そうですか。お腹の赤ちゃんは順調でしたか?」 『ん。ちゃんと成長してくれてるわよ。』 「良かったですね。予定日とか分かってるんですか?」 『4月。4月の始め位よ。』 「私と同じですね。4月。」 『あっ!本当!蘭花ちゃんと同じだったら、いい子が産まれるかもね。』 「瑠璃姉と佑さんの子供は、絶対に可愛いですよ。お二人とも、美男美女ですし。」 『ありがと♪じゃあ、またゆっくり遊ぼうね。』 手を振り帰る二人の後ろ姿が、凄く幸せそうだった。 4月かぁ。 何か私まで楽しみだな。 買い物を済ませ、竜兄の所へ行った。 合鍵を貰ってるけど、とりあえず顔を出す。 「竜兄。ただいま。買い物してきた…よ。あっ。飯田さん。こんにちは。」 またまた飯田さん。 よく会うな。 『こんにちは。蘭花ちゃん。社長、今出てるわよ。すぐ戻るみたいだけど。』 「あー。そうなんですね。じゃあ、私は家に行きますから。」 何か言われそうなので、早く立ち去りたい。 『蘭花ちゃん。待って。この間の話。デートしてって話。』 ……やっぱりか。 「あー。そうでしたよね。」 『社長からは、OK貰ったけど。蘭花ちゃん。いつがいい?』 えー!もう、決定?! 「でも、ほらっ。あれですよ。私と行っても面白くないと思いますけど。私、あんまり出歩かないので詳しく無いですし。」 だから、やめようよ。 『そんなに私とは嫌?じゃあ、社長と行こうかしら。』 はい? 「……いやぁ。さすがにそれは…。私が嫌です。すいません。」 嫌だろ!ってか、駄目だろ! 『じゃあ、いつがいい?』 結局行くのかよ! 「……いつでもいいです。飯田さんの都合で。」 もう諦めました。
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