【暴走Ⅲ その六 】

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志稀は詩音さんと買い物に出掛けた。 部屋に戻りボォーとする。 ……暇だな。 留学か…。 そろそろ準備しとこうかな。 クローゼットからバックを取り出し適当に洋服を詰め込んでいたら、部屋にノックの音。 『蘭花。入るぞ。』 翔兄と蓮兜兄だ。 「…ん。どうしたの?二人揃って。」 『蘭花ちゃん。身体、大丈夫?少しはゆっくり出来た?』 「ありがとう。蓮兜兄。身体は何とか。ごめんね。心配かけて。」 三人共座った。 「どうしたの?」 まぁ。何をしに来たのかは分かってるんだけど。 『蘭花。お前、留学って竜は知ってるのか?』 ……やっぱり…ね。 「……留学の事は言ってない。ただ、半年間留守にするから総取締役の代理をしてくれって伝えてあるから。」 『蘭花ちゃん。翔から話は聞いた。二人の問題だし俺達が言える事は無いけど。でも…それでいいの?もう一度ちゃんと話してみたら?』 「……ごめん。もういいから。竜兄には私より相応しい人沢山居ると思う。今更、話す事もないしね。竜兄の判断は正しいよ。私は最低な女だって今回実感した。自分勝手な最悪な女だって。だから、もう竜兄を解放してあげるの。私を守らないといけないって言う責任から。解放して自由にしてあげるの。じゃなきゃ、竜兄が可哀想でしょ?私なんかに縛りつけられて一生終わるとか、可哀想過ぎる。」 『…後悔しるんじゃないのか?だから、留学するんじゃねぇのか。』 翔兄に言われ答える。 「……してるよ。凄く後悔してる。だけど、もう遅いから。翔兄の言う通り。私は留学って言う言葉を借りて、逃げるのよ。竜兄から逃げるの。自分でも分かってる。卑怯なんだよね。私って。だけどね。今は竜兄に会えない。潰れるの分かってて会える訳ないじゃない。そんな姿、竜兄にも他の皆にも見せられる訳ないじゃない。だから、何かに夢中になって全て忘れて来るから。留学って言うのもね違うんだ。本当はモデルをするのが目的なの。その期間だけだけどね。手伝って欲しいって言われて。学校休んでまで行けないでしょ?だから、留学はついで。勿論、ちゃんと勉強はするよ。レベル高い所でやってみたいってのも嘘じゃないから。これが全部。本当の事だから。龍咲さんや父さん達には悪いけど、そうでもしなきゃ前に進めない。」
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