【暴走Ⅲ その六 】

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『…竜は…竜は蘭花ちゃんの事、守る責任とかそんなんで一緒になった訳じゃないと思う。解放するとか、自由にしてあげるとか。何か違う気がする。』 蓮兜兄がポツリと言った。 「……もう…やめようよ。…私だって平気な訳ないじゃん。…ずっと泣いて…胸が痛くて…息も出来ない位…苦しんで…。やっと…逃げ道を見つけた…。自分に言い聞かせて…やっと…。だから…もう…何も言わないで…。お願いだから…。」 ……本当に…やめて…。 『……ごめん。蘭花ちゃんの気持ちも考えずに…。』 『悪かったな。蘭花。蓮兜も俺も、お前が心配なんだよ。前に潰れかけたお前を見てるから。心配なんだ。もう何も言わないから。…頑張れよ。』 分かってる。 二人が心配してくれているのは、よく分かってる。 翔兄と蓮兜兄は竜兄の幼馴染みで私の兄貴でその恋人で。 どうやっても、どちらにも関わらないといけないから。 どっちの事も心配してくれてるんだ。 「…ん。ありがとう。蓮兜兄も心配かけてごめんね。帰って来た時は笑って話せる様に頑張るから。二人に心配かけない様に強くなるから。竜兄には言わないで。留学の事もモデルの事も。きっと気にしちゃうから。これ以上、竜兄を苦しめたくないから。ねっ。お願い。」 はにかむしか出来ない私。 今度はちゃんと笑って会えるから。 二人は分かった。と言って部屋を出た。
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