【暴走Ⅲ その六 】

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残りの3日間、飯田さんと何度か連絡を取って着実に留学の準備を進めて行った。 龍咲さんの所にも出向き、あっちに行ってからのある程度の手続き等を教えてもらったり、書類をもらったりした。 バタバタと準備をしていたら、あっと言う間に留学当日。 紗江先輩にはしばらく一緒に行けないとだけメールをした。 空港には翔兄が連れて行ってくれる。 荷物を持ち玄関で靴を履く。 立ち上がり振り替えると、父さんと詩音さん、志稀、それに矢部さんも見送ってくれた。 「じゃあ、行ってきます。」 皆に笑顔で言った。 『おうっ!しっかり勉強して来いよ!気をつけてな。』 父さんが片手を上げた。 『ちゃんと食べるのよ。たまには連絡しなさいよ。』 詩音さんが心配そうに言った。 『蘭花!頑張れよ!』 ニカッと笑い志稀が言った。 『蘭花お嬢。身体に気をつけて。行ってらっしゃい。』 矢部さんが頭を下げて言った。 「うん。皆、ありがとう。頑張って来るから。行ってきます。」 『じゃあ、行くぞ。』 翔兄の言葉に頷き、皆に手を振って家を出た。 車に乗り込み空港へと向かった。 「翔兄。ありがとね。ここでいいよ。後は一人で大丈夫だから。」 空港の駐車場で翔兄に言った。 『…そうか。蘭花。頑張れよ。』 そう言って私の頭をくしゃっと撫でた。 「うん。頑張ってくるね。じゃあ、また夏にね。」 車から降り荷物を持って歩き出した。 よしっ!頑張ろう! 勉強もモデルの仕事も。 自分で決めた事だ。 後悔しない様に堂々と胸を張って帰って来れる様に。 そして、竜兄と笑顔で会える様に。 決意を固め一歩一歩踏み出す。 新しい自分を見つける為に。 強い自分になる為に。 飛行機から見える景色を眺め、改めて自分の決意を確かめた。
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