【暴走Ⅲ その壱 】

36/43
前へ
/334ページ
次へ
「そう言えばね。この間、來希に彼女作ればって話したの。そしたら、紗江先輩と來希が、彼女出来ないのは私のせいだって言うんだよ。酷くない?」 思い出したぞ! 『何でそんな話になるんだ?』 お酒をテーブルに置いて竜兄が聞く。 「何かね、クリスマスがどうとかカップルがどうとか言ってた。それで。」 『ふ~ん。で?來希に彼女が出来ないのは蘭花のせいだって?』 「うん。」 『あれか?お前以上にいい女がいないとか?理想が高くなったとか。そんなとこだろ。』 おっ!当たり! 「そうそう。そんな事言ってた。だけど、それってさ。來希自身の問題じゃない?それを人のせいにするなよって感じ。紗江先輩も來希の言う事、一理あるとか言ってさ。」 『まぁ。お前に一度でも惚れた奴なら、そうかもな。』 はぁ? 「何でさ。」 『顔だけじゃないだろ。いい所が。顔だけの女なら、いくらでも居るけど。蘭花の場合、顔もだけど性格とか強さとか家庭的な所とか。まぁ。完璧に近いんじゃねぇか?それと同等かそれ以上となれば、探すの難しいだろ。』 「別に私は完璧じゃないけど。荒れてた時は、皆に酷い事もしたし言ったし。自分勝手だったり、怒りっぽかったり。欠点なんて探せば沢山あるよ。そんな完璧な人間なんて居ないでしょ。買い被りすぎなんだよ。」 本当にそう。 『ほらっ。なっ?そう言う所も。普通、自分の欠点なんて自分でしっかり見つめる事なんて無いだろ。蘭花はそう言う所があるから、人に好かれるし人を惹き付けるんだよ。』 「まぁ。何言われても、私は私だし。自分の嫌いな部分なんて数えきれない位あるし。竜兄だって、そうでしょ?私から見れば竜兄は完璧だし。」 『そうだな。俺も欠点なんて沢山あるしな。お前の言う通りかもな。他から見る自分は、自分の思う自分とは違うよな。まぁ。普通はそんな事自体、考えないけどな。だから、ある意味お前は凄いな。』
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加