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夕べ、珍しく寝る前に竜兄からメールが来た。
毎日、朝夕と会うのであまりメールはしないのに。
《明日、終業式だろ?明後日から冬休みだから、明日の夕方ウチに来い。》
来い。って、命令かよ!
と、ちょっと腹が立ったが仕方ないから行ってやる的なメールを返した。
シャワーを浴び少しゆっくりしてから出掛ける準備をした。
詩音さんに一言声をかけ、玄関で靴を履いていると。
『『『ご苦労様です!!』』』
組員さん達の声に顔を上げた。
あっ。翔兄。
今日は帰ってきたんだ。
『よぉ。蘭花。出掛けるのか?』
靴を履き立ち上がった私に翔兄が声をかける。
「よぉ。じゃないよ!翔兄、最近帰って来ないで何してんのよ。仕事もいいけど、無茶したら……誰?その人。」
翔兄の横に見知らぬ女の人が居る。
『ん?あぁ。俺の女。』
はっ?
『初めまして。可愛い妹ね。翔と似てないわね。』
……何。この人。
『お前も挨拶くらいしろよな。』
「…何考えてんの。」
俯きボソッと出た言葉。
『はぁ?何って言った?蘭花?』
バッと顔をあげ翔兄を睨んだ。
そして、思いっきりひっぱたいた。
『ッツ!何すんだよ!いきなり!』
『っちょっと。何?どうしたのよ。あんたの妹。』
翔兄は怒鳴り、その女は翔兄を見て私を見た。
「何考えてんのよ!!何が俺の女よ!ふざけんな!翔兄!最低!」
翔兄の襟首を掴んで怒鳴る。
『ちょっと!この子、何言ってんの?何?もしかしてお兄ちゃんに彼女が出来てヤキモチやいてるの?』
にやけながら言う女。
こんな女連れて来やがって!
「あんたには関係無い。煩いから、さっさと帰れ。」
『何よ!翔!何なのよ!この子!何とか言ってよ!』
翔兄の腕を掴み女は訴えるが、翔兄は黙っていた。
「煩せぇよ!黙ってさっさと消えろや!」
女に怒鳴ると騒ぎに駆けつけた組員の中に居た矢部さんが、その女を追い出した。
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