【暴走Ⅲ その壱 】

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夕べ、珍しく寝る前に竜兄からメールが来た。 毎日、朝夕と会うのであまりメールはしないのに。 《明日、終業式だろ?明後日から冬休みだから、明日の夕方ウチに来い。》 来い。って、命令かよ! と、ちょっと腹が立ったが仕方ないから行ってやる的なメールを返した。 シャワーを浴び少しゆっくりしてから出掛ける準備をした。 詩音さんに一言声をかけ、玄関で靴を履いていると。 『『『ご苦労様です!!』』』 組員さん達の声に顔を上げた。 あっ。翔兄。 今日は帰ってきたんだ。 『よぉ。蘭花。出掛けるのか?』 靴を履き立ち上がった私に翔兄が声をかける。 「よぉ。じゃないよ!翔兄、最近帰って来ないで何してんのよ。仕事もいいけど、無茶したら……誰?その人。」 翔兄の横に見知らぬ女の人が居る。 『ん?あぁ。俺の女。』 はっ? 『初めまして。可愛い妹ね。翔と似てないわね。』 ……何。この人。 『お前も挨拶くらいしろよな。』 「…何考えてんの。」 俯きボソッと出た言葉。 『はぁ?何って言った?蘭花?』 バッと顔をあげ翔兄を睨んだ。 そして、思いっきりひっぱたいた。 『ッツ!何すんだよ!いきなり!』 『っちょっと。何?どうしたのよ。あんたの妹。』 翔兄は怒鳴り、その女は翔兄を見て私を見た。 「何考えてんのよ!!何が俺の女よ!ふざけんな!翔兄!最低!」 翔兄の襟首を掴んで怒鳴る。 『ちょっと!この子、何言ってんの?何?もしかしてお兄ちゃんに彼女が出来てヤキモチやいてるの?』 にやけながら言う女。 こんな女連れて来やがって! 「あんたには関係無い。煩いから、さっさと帰れ。」 『何よ!翔!何なのよ!この子!何とか言ってよ!』 翔兄の腕を掴み女は訴えるが、翔兄は黙っていた。 「煩せぇよ!黙ってさっさと消えろや!」 女に怒鳴ると騒ぎに駆けつけた組員の中に居た矢部さんが、その女を追い出した。
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