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「ふざけんな!翔兄、待っとくって言ったのに!何だよ!あの女!待つのは辛いけど、逃げるなよ!まだ、一人で悩んでる蓮兜兄が可哀想だよ!」
胸ぐらを掴み怒りをぶつける。
『俺だって…俺だって!どうしていいか分かんねぇんだよ!ずっと待ったんだよ!なのに、アイツは何も言ってこねぇし!俺はいつまで待てばいいんだよ!』
私の手を振りほどき翔兄が苦痛に顔を歪ませた。
「だからって!あんな女、連れ込むな!それは私が許さない!我慢の限界なら、もう一度ちゃんと向き合いなさいよ!蓮兜兄に自分の気持ちぶつけなさいよ!今の翔兄は嫌い!最低!」
そう言い放ち私は玄関から飛び出した。
やりきれない思いがした。
翔兄の気持ちは分かる。
待っていると約束をしたけど、あまりにも待ちすぎて、自己完結をする事で楽になりたかったんだ。
どんどん過ぎる時間の中で、どうする事も出来ない思いだけが溢れてしまったんだ。
だから、逃げた。
逃げて気を紛らわしたかったんだ。
だけど、やり方ってもんがある。
今の翔兄は最低だ。
とことんまで我慢して、どうしようもなくなったなら行けばいい。
諦められないなら思いをぶつければいい。
私には出来なかった事。
自己完結で自滅した私。
記憶を無くしてしまうまで消したかった思い。
それは相手を酷く悲しませる事になる。
そんな想いを翔兄と蓮兜兄には、してほしくない。
私と竜兄が苦しんだ、あの辛く苦しい想いだけはしてほしくないから。
やりきれない思いを胸に抱えながら、竜兄の家に行った。
今日は顔を出す気分じゃない。
合鍵で家に入り、ソファーへとなだれ込んだ。
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