【暴走Ⅲ その弐】

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『蘭花?居るのか?』 声にハッとして見れば、外はもう真っ暗だった。 「あっ。ごめん。居る。おかえり。竜兄。」 『電気も付けないでどうしたんだ?』 電気を付けながら竜兄が言う。 「ん。ちょっと、考え事してた。」 竜兄の方に顔を向け答える。 背広をソファーにかけ、私の隣に座る竜兄。 『どうしたんだ?顔も出さないから心配したぞ。何かあったのか?』 私の髪を撫でながら竜兄が聞く。 「ん。実はね。」 来る前に起きた出来事を竜兄に話した。 「何かさ。やりきれない思いでいっぱいになっちゃって。だからって、何も出来ないでしょ?虚しいよね。」 目の前に飾ってある自分のポスターに目をやる。 『あぁ。なるほどな。待つ方も待たせる方も辛いかもな。まして、どっちも昔から知ってるし、どっちの気持ちも分かるしな。だけど、今日の蘭花は間違って無いぞ。それは、翔が悪い。お前に言われて翔も今頃考えてるんじゃないか?』 「余計な事、言ったかな。」 『いや。大丈夫だ。その位言わなきゃ、アイツはどんどん酷くなるからな。案外、蓮兜の所に行ったかもしれねぇぞ。』 「だといいけど。ところで、今日何かあったの?何で平日なのに呼んだの?」
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