【暴走Ⅲ その弐】

7/28
前へ
/334ページ
次へ
「でも、本当に綺麗。夜景とか見るの初めてかも。」 東京に住んでても、外から見るなんて事、今までなかった。 『それと、ほらっ。これ。』 そう言って小さな箱を手渡す竜兄。 「何?これ。」 何だ? 『クリスマスプレゼント。』 「えっ?クリスマスプレゼント?って、私何も用意してないけど。竜兄。クリスマスとかする方なの?」 『言うと思った。俺、一応あっちで育ったからな。蘭花は、絶対私、キリスト教じゃないし。とか言いそうだから何も言わなかっただけだ。これは。俺が勝手にした事だから気にすんな。それ、開けてみろよ。』 よくお分かりで。 でも、いいのかな? 私だけ、こんなしてもらって。 箱の包みを開けてみると……。 「…指輪?」 『そう。婚約指輪。何てな。』 「…婚約指輪。」 『冗談だよ。普通に貰っとけ。シルバーリング。ピアスとお揃いのデザインで作ってもらったんだ。』 リングを取りだしよく見てみる。 「あっ。本当だ。竜兄もお揃い?」 『あぁ。お揃いだ。俺はチェーンに通して、着けてる。ほらっ。』 首もとから、チェーンを引っ張り下がっているリングを見せてくれた。 「本当だ。私もしようかな。」 『じゃあ、チェーンも用意しとく。』 「ありがと。竜兄。大事にするね。婚約指輪。」 ニッコリ笑って言うと竜兄に抱きしめられた。 『ん。大事にしてな。婚約指輪は、またちゃんとプロポーズさせてくれよ。』 「ん。待ってる。でも、婚約指輪はこれがいい。」 そして、深くキスをした。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加