【暴走Ⅲ その弐】

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ケーキを食べながら、蓮兜兄を待つ事、30分。 インターホンが鳴った。 「あっ!来たね。私、出るから!」 サッと立ち玄関へと走る。 バタッ! 玄関のドアを開けると 「蓮兜にぃ……って、何で翔兄?」 翔兄の横に蓮兜兄が立ってる。 『お疲れ。悪いな。こんな時間に。』 『こんばんは。蘭花ちゃん。ゴメンね。急に。』 「…あぁ…ん。大丈夫。とりあえず、上がって。」 二人を中に入る様に促した。 竜兄も二人で来た事に驚いていた。 『適当に座れよ。何か酒作るから。』 竜兄がキッチンに向かったので、私も着いて行った。 「ねぇ。翔兄も一緒って事は、やっぱり会いに行ったんだよね。話し合ったのかな。」 お酒を作る竜兄の横で小声で言う。 『だろうな。あらかた、その報告的なもんだろ。まぁ。聞いてみないと何ともな。よしっ。出来たぞ。持っていけ。』 グラスを渡され、翔兄と蓮兜兄に手渡した。 『ゴメンね。竜。蘭花ちゃん。』 蓮兜兄が座った私達に言った。 『あぁ。気にすんな。で?どうしたんだ?』 竜兄が本題に入る様に話をふった。 『蘭花。今日、お前に言われた後に考えるより先に蓮兜の所に走ってた。』 やっぱり行ったんだ。 『翔が突然来たから、おれもびっくりした。だけど、何だか凄く嬉しかったんだ。』 翔兄に続き蓮兜兄が話始めた。 『ずっと待たせてる訳にはいかないって分かってたんだ。だけど、考えても考えても答えが出なくて。そんな状態で翔に連絡をとるわけにはいかないって、ずっと思ってた。だけど今日突然、翔が来て分かったんだ。何があっても、おれにはやっぱり翔しか居ないって。離れて初めて心から、そう思った。ずっと一緒だったから、気付かなかった事に離れた事で気付いたんだ。で、翔の気持ちも聞けた。おれと同じだった。だから、二人でちゃんと向き合おうって誓ったんだ。』 「…そう。良かった。」 何だか嬉しかった。 二人がお互いの存在の大きさに気付いて、前向きになってくれた事が凄く嬉しい。 『良かったな。翔。それで、その原因は何だったんだ?』 そうだよね。 一体、何があったんだろう。
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