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そして、これから父さん達に衝撃を与える事実を突き付けなければならない。
蓮兜兄のお父さんにも連絡を入れ、ウチへ来てもらうことになった。
病院を出る時に志稀君を挟み、翔兄と蓮兜兄が志稀君の手を握り締め歩き出した。
翔兄も蓮兜兄も、もうこの子の手を離す事は決して無い。
勿論、志稀君も二人の手を握り締め離さない。
それぞれが覚悟を決めた瞬間だった。
私と竜兄は、その後ろ姿を見つめお互い手を繋いだ。
家に着き門の前で翔兄が立ち止まった。
門の外から家をじっと見据えたまま翔兄が言った。
『志稀。今日からここがお前の家だ。この日をよく覚えとけ。お前が男としてお母さんから独り立ちした日だ。行くぞ。』
志稀君もまた翔兄同様、門の外から家をじっと見据え深く黙って頷いた。
血の繋がりを感じる程、その後ろ姿は似ていた。
翔兄は志稀君を確認して門をくぐった。
向かった先は応接室。
そこに居るのは、父さんと詩音さん。
そして、白妙のおじさん。つまり蓮兜兄のお父さんだ。
応接室へと入る。
『親父、母さん、おじさん。急にすいません。今日は、きちんと話さなければいけないことがあります。とりあえず、話だけ聞いて下さい。』
三人共、志稀に目をやるが誰も何も言わなかった。
話をする間、志稀は私の隣に座らせた。
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