【暴走Ⅲ その弐】

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詩音さんは納得していないのか、険しい表情で志稀を見た。 まぁ。いきなり翔兄が子供を連れて来た訳だし。 当たり前と言えば当たり前の反応だ。 蓮兜兄との事は何も言わない辺り、やはり知っていたんだと思う。 でも、まさかいきなり孫とか思いもしなかっただろう。 詩音さんの声にビクッとした志稀。 「詩音さん。そんな怖い顔しないで。志稀が怖がるから。」 思わず志稀を庇う私。 『蘭花は黙っときなさい。志稀。こっちに来なさい。』 志稀から目を離さずいい放つ詩音さん。 志稀は、少し戸惑いながらゆっくりと詩音さんの前に行った。 その途端。 『キャー!可愛い!志稀。詩音さんよ!おいでぇ~♪』 ………。 その場の全員固まりました。 志稀を抱き寄せ頬をスリスリしてる詩音さん。 どうやら、かなり気に入ったらしい。 初めての孫。 「翔兄。良かったね。この分じゃ、私達より父さんと詩音さんが志稀を溺愛しそうね。」 翔兄の後ろから言う私。 『だな。ヤバイな。あっちになつくんじゃねぇか?俺が父親なんどけどな。』 ん。もう、翔兄は父親だ。 『子供はやっぱり可愛いな。蘭花。子供欲しいな。』 今まで、ずっと黙って見守っていた竜兄の言葉がこれ。 「……まだ、早いですね。もう暫くは無理なので我慢して下さい。」
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