【暴走Ⅲ その参】

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『別にいいだろ。急に親父なんて言えねぇだろうし。なぁ。志稀。』 志稀の頭を撫でながら言う翔兄。 「全く。皆、志稀を甘やかし過ぎ。普通に接するのが家族でしょ。怒る所はきちんと怒ってやらなきゃ。我が儘になっちゃうよ。今まで、せっかく志穂さんが強く育ててきてくれたんだから。少し考えてよね。」 『志稀。俺の事はパパと呼びなさい。』 ……。単純過ぎるよ。翔兄。 しかも、パパって。 そんながらじゃないだろ。 「志稀。急には無理かもしれないけどね。ちゃんと、お父さんって言わなきゃ駄目よ。志稀の呼びやすい様に言っていいけど、翔兄は志稀の父親なんだからね。分かった?」 『うん!じゃあ、父ちゃんって呼ぶ!いい?父ちゃん。』 ニコニコしながら翔兄を見る志稀。 『おうっ!いいぞ。志稀。蘭花は強いから、今のうちから格闘技教えてもらっとけよ。』 『蘭花。強いの?女の子なのに?』 「そうよ。女の子でも強くなきゃ、自分も仲間も大事な人も守れないでしょ?だから、志稀も自分の為じゃなくて、大事な人達の為にも強くならなきゃいけないよ。私が少しずつ教えてあげるからね。」 『うん!ボク、強くなりたい!』 志稀の笑顔は志穂さんに似て、癒される。 何か可愛い弟が出来た気分。
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