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リビングに入ると、ソファーで志稀が絵本を読んでいた。
「志稀。絵本、読める様になった?」
『あっ。蘭花。げっ。竜も居る。』
……おいおい。ミニ來希かよ。
「志稀。年上に向かって呼び捨ては駄目。私にはいいけど、他の人はダメだよ。分かった?」
『えー。だって、竜は蘭花を独り占めするもん。』
「だってじゃないの。ダメなものは駄目!返事は?」
『…はい。ごめんなさい。竜さん。』
ちゃんと竜兄に謝れた。
偉いぞ。
『あぁ。気にすんな。それにしても、蘭花。志稀に厳しいな。』
ダイニングテーブルへ移動して竜兄が言う。
「違うよ。常識はきちんと教えないといけないでしょ?可愛いけど、甘やかすだけじゃ志稀の為にならないからね。父さんも詩音さんも翔兄も志稀を甘やかすから。私が教えるしかないのよ。志稀は賢い子だから、分かってるよ。ねぇ。志稀。」
私も椅子に座り、ソファーに座る志稀を見た。
『うん!蘭花は怒ると怖いけど、いつもは優しくて強いから。大好き!』
ほらねっ。
「志稀~。おいでぇ~。蘭花とご飯食べよう。」
両手を広げて志稀を呼ぶと、ソファーから勢いよく立ち上がり、私の元へと走ってくる志稀。
可愛い過ぎる!!
私の腕の中に来た志稀の頬に自分の頬をスリスリ。
「志稀~。可愛いぃ~。」
『お前が一番甘やかしてるじゃねぇかよ。早く食えよ。時間ねぇぞ。』
呆れた竜兄に頭の上からチョップされた。
「…痛いです。」
『志稀。こっちこい。蘭花の馬鹿が移るぞ。』
テーブルの向かい側に座ってきた翔兄。
「翔兄。殴るよ。」
『蘭花?父ちゃん、殴るの?』
あっ。しまった。
志稀の前でこんなこと言ったらダメだよね。
「大丈夫。何もしないから。志稀は人の悪口言っちゃ駄目だよ。お父さんみたいにね。」
嫌み返しじゃ!
『お前ら子供の前で止めとけよ。』
竜兄。冷静ですね。って、もう食い終わるし!
「志稀。私、時間無いからお父さんと食べて。ゴメンね。」
素直な志稀は、翔兄の横に座り直した。
『早く食えよ。俺、先にバイク出しとくな。』
私の頭を撫でながら竜兄は立ち上がった。
「ん。ゴメン。すぐ行くから。」
それから、急いでご飯を食べた。
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