【暴走Ⅲ その参】

9/99
前へ
/334ページ
次へ
部屋へ戻り壁にかけてある特攻服に手を伸ばす。 鏡の前でバッと特攻服を身に纏い背中を向ける。 漆黒の中に浮かぶ銀刺繍の文字。 【全国暴走族総取締役 西極 蘭花】 よしっ!私は総取締役! 今年最後の取締役会だ。 気合いを入れて行こう! 階段を下り玄関へ向かう。 西極組の組員達に見送られ門の前に待つ輝条の前に立つ。 「行こう。輝条。乗って。」 バイクに跨がりエンジンを吹かす。 輝条が乗ったのを確認し、バイクを走らせた。 久しぶりのバイク。 風を切って走るこの感じが堪らなく好きだ。 湊倉庫に到着した。 バイクを停め下りる。 扉の前。 男達が頭を下げ、扉をゆっくり開ける。 すると、中から一斉に挨拶が聞こえる。 取締役達の間を通り抜け、いつもの白いソファーへ腰をおろした。 全員が黒いソファーの前にたった。 「只今から取締役会を始める皆座って。」 全員がソファーに座ったのを確認。 「じゃあ、最初は北海道取締役から報告して。」 そして、北から南まで各地方の暴走族、レディースの取締役達の報告が一通り済んだ。 「何処も問題無いようね。ただ、正月前だから正月暴走するなら、きちんと管理指示して。抗争が起きない様に。責任はお前らにあるから。じゃあ、他に何か無い?」
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加