【暴走Ⅲ その参】

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『あっ?見せねぇぞ。これは瑠璃さんが送って来たんだし。お前からは見せてもらった訳じゃねぇしな。』 はぁ?何だよそれ! 「何でよ!狡いじゃん!私ばっかり!いいし。自分で探す。」 『お好きにどうぞ。俺、風呂入ってくる。』 そう言って竜兄はお風呂に行った。 よしっ!今のうちじゃ! と、言うわけで家の中探しました。 ………ない。 何処にもない。 竜兄の部屋も探したのに! それらしいものは無かった。 捨てたのか? でも、見せないって言ったからあるんだよな。 くそ~!何処に隠したんだよ! ビールそっちのけで探す私。 『本当に探してんのか?見ても大して何も書いてねぇよ。見るだけ損だって。』 「ってか、ない。何処にあるの?」 家中探したぞ! 『ん?あぁ。家にはねぇぞ。会社。社長室だ。んなもん、わざわざ家に持って帰らねぇだろ。』 ………私の苦労が…。 「…ハァ。なんだよそれ。全部探したのに。今度見せてよね。」 『はいはい。分かったよ。』 そう言いながら、新しいビールを持って来てくれた。 『そんなに見たいかねぇ。ただのインタビュー記事だぞ。』 「見たいの。竜兄の仕事の事は分からないけどさ。どんな感じに書かれてるのかなぁ。とか。気になるでしょ。」 『まぁな。俺もお前がモデルしたら、写真見たいもんな。』 「でしょ?それと同じ。竜兄の全部、知りたいのよ。」 好きな人の事は全部知りたい。 『蘭花。俺の事、愛してんのな。』 イタズラに笑う竜兄。 ちょっと。 ヤバイから。その笑顔。
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