【暴走Ⅲ その参】

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カップのアイスを2つ取り、部屋へ戻った。 「はい。志稀。掃除、手伝ってくれてありがとうね。志稀のおかげで綺麗になった。」 アイスを手渡すと、凄く嬉しそうに受け取った。 「志稀。アイス好きなの?」 『うん。大好き。暑い時でも寒い時でも、ご飯いっぱい食べたらお母さんがアイスくれたんだ。』 ……そうだったんだ。 ウチに来てから我慢してたのかな。 「ねぇ。志稀。お母さん居なくなって、淋しくない?」 『ん。たまにね。淋しくなる。だけど、蘭花も居るし。父ちゃんも龍華さんと詩音さんも居る。蓮兜君も毎日来てくれるし。だから、大丈夫だよ。』 「志稀。我慢だけはしないでね。家族に対する我慢だけは。男の子だから、泣くのも我慢弱音を吐くのも我慢って志稀は思ってるみたいだけどさ。我慢しなきゃいけない事の方が多いかもしれないけどね。だけど、家族に対して我慢はしなくていいから。淋しい時は淋しいって言いな。苦しければ苦しい程、家族にはちゃんと言ってね。皆、志稀の事は大切なんだから。ねっ?蘭花と約束だよ。分かった?」 私の話をジッと聞く志稀。 『うん。分かった。蘭花と約束する。』
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