【暴走Ⅲ その参】

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「別にね。いい子じゃなくていいのよ。好きな事も我慢しなくてもいい。ただね。人を傷つけるような事だけは、絶対にしたらダメだよ。」 アイスを食べながら頷く志稀。 「それとね。ここに居る人達は皆、家族だからね。怖い顔のお兄さん達もね。皆、家族なの。だから、困った事があったら頼りなさい。皆に頼りなさい。志稀は一人じゃないからね。一人では生きていけないから。私もそうよ。家族が居て親友が居て愛する人が居て。だから、こうして生きていける。まぁ。志稀にはまだ分からないかな。」 まだ5歳だしね。 『分かるよ。ボク、蘭花の言ってる事分かるよ。』 「そう?志稀は頭もいいね。お母さんに似たのかな。ねっ。」 翔兄…ではないな。うん。 『蘭花。入るぞ。志稀、居るか?』 部屋に翔兄が来た。 「おっ。翔兄。居るよ。志稀が掃除、手伝ってくれた。終わったからアイスタイム。ねぇ。志稀。」 うん。と頷く可愛い志稀。 『そうか。志稀。偉いな。』 志稀の頭を撫で志稀の横に座って、志稀をヒョイと持ち上げ膝に乗せる翔兄。 「何処行ってたの?掃除はしてなかったみたいだし。あっ。また追い出されたの?翔兄、掃除出来ないしね。」 『アホか。打ち合わせだよ。』 「打ち合わせ?何の?」 『増築。』 はっ? 『増築?何処の?ウチ?』 「当たり前だろ。いや。あれだよ。志稀が来ただろ?だから、俺と蓮兜と志稀が一緒に住める様にってな。親父が増築しろってよ。俺は別に今のままでもいいんだけどな。なんなら、家建てるか?とか、言い出しやがって。』 あー。なるほどね。 「いいんじゃない?その方が。増築して、三人一緒に生活出来る方が志稀の為になるでしょ。今の翔兄の部屋では無理だしね。増築だと、行き来も出来るし。」 『まぁな。二世帯住宅みたいにするらしいからな。』
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