2125人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほぅ……」
――目の前には背中に羽が生えた金髪イケメン
――そしてそのイケメンと向かい合う俺
客観的な状況を再認識し、俺は一つ頷く。
正直端から見て、不可思議と言わざるを得ないな。主にこのイケメンの背中の物体が。
それと。
俺はまじまじと羽アリ…ごほん、羽付きイケメンを観察した。
なんというか、軟派な印象を与える容姿をした男だ。
顔が良いものの、車のキーを指に引っかけてこれ見よがしに回してみせる類の生き物のような気障な軽薄さがある。
そんなイケメンは、何やらわなわなと神々しい白装束に包まれた体を震わせていた。
…最も、その白い服は現在鮭やら米粒やらひじきやらで汚れているが。
黄金色の髪も服と同様食べ物でべとべとになり、俺の友人なら「イケメンざまぁwww」と指差して爆笑するような状態だ。
とりあえず、羽以外におかしいのはこれだな。イケメンがいかにも俺の昼食を被ったような格好でいる……こと……………………あぁ、俺のせいか。
俺は、イケメンの醜態の原因である自分の手元の空になったプラスチック弁当箱を眺め、イケメンの醜態を眺め、また弁当箱を眺めた。
最後に、顔がタコ化現象を起こしつつあるイケメンを見る。
………。
「すまん。宇宙人と間違えた」
「……………このっ……この、ド天然がぁあああーっ!!」
怒鳴られてしまった。眦を決したイケメンに。
…ド天然で悪かったな。
しかし、どうしてこうなった?
最初のコメントを投稿しよう!