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「そうだな…今北産業
・俺、廊下歩く
・リーフェンシュタール先生、賊と勘違い
・火事
といった流れだ」
聞いた話では、今北産業=今来たばかりの人に三行で説明すること、の略らしい。
俺の適当な返答に、混乱教師が額に手を当てた。
「…大体把握しました。リーフェンシュタール先生は早とちりで有名ですから…。しかも、大抵悪い方に」
友人風に言うと、『リー先生人間不信すぎワロエナイ』だろう。
あの男は、人の名前を覚えるのは苦手だったからな。大体二文字くらいに略していた。
へらへらする友人を思い浮かべていると、「すみませんね」と眉をハの字にする混乱教師。
「いや、構わない」
俺は、教師に片手を振って謝罪を軽く流す。
他人の代わりに謝るとは…『紅い月』のマスターも真面目だったが、この混乱教師も大概だな。
俺が、こうしてマスターと混乱教師の真面目度を比較している頃、ようやくリーフェン(略)先生が饅頭から救出された。
他の教師の手を借りて立ち上がり、俺の方を見る。
リーフェン(略)先生は、俺と目が合うなり、ふんっと鼻を鳴らした。
「お前なんかが試験に受かるわけがない。せいぜい学園長様の気まぐれを祈っていることだ」
編入希望者を不審者扱いして攻撃しまくった割には、反省の色が見られない。非常に態度が悪かった。
だが、俺も必ず受かるとは確信していないので、頷いておく。
「あぁ。ありがとう」
「…なっ……!」
貶した台詞に礼が返ってきて、リーフェン(略)先生が怒りに顔を歪める。
…やはり、沸点が低いのか。
しかし猪突猛進なだけあって、それ以上の嫌みを吐く語彙力がなかったらしく、くるりと背を向け足早に去っていった。
それを見送り、隣の混乱教師が嘆息した。
「本当にすみません。美人なんですけどね…。早とちりと自分の失敗を認めないところが玉に瑕です」
混乱教師は愚痴っぽくなったことに気付いたようで、気を取り直して俺に微笑む。
「ひとまず、学園長室に行きましょうか」
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