第3話 セラス学園

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幾多の廊下を曲がって階段を上がり、高級感のある木のドアの前に辿り着くと、俺の先を歩いていた混乱教師(平民出で、名前はニールというらしい)が立ち止まった。 「ここが学園長室です」 一度俺を振り向いて説明する。 そして、混乱教師ことニール先生はドアをノックした。 中にいるのは、学園長ということだから、老人だろうか。 意外と若くて、中年くらいということもあるかもしれん。 いずれにせよ、一発で「はい不合格」と言われてしまっては困る。 俺は一応服(マントだが)の乱れがないかどうかチェックした。 …うん、ないな。 意識を学園長室に戻すと、ちょうど返事があったところだった。 「いいよ。入って」 …随分と若々しい、というか幼い声だな。子供なのか? 声の主の正体を考えている内に、混乱教s…ニール先生がドアを開けた。 室内に入ったニール先生に続き、俺も入室する。 ドアを閉めて肝心の学園長を見ると―― 「…子供」 幼女だった。 座高からして、百二十センチにも届かないであろう背丈。 柔らかそうなストロベリーブロンドを肩甲骨のあたりまでのばし、頬や手足は子供特有の緩やかな丸みを帯びている。 俺の呟きが部屋に響いた瞬間、やけに偉そうな椅子に座った幼女の小さな体から、濃密な殺気が溢れだした。 「今 な ん て 言 っ た ?」 隣のニール先生がガタガタと震えているのが視界の端に映り、部屋の温度が五度は下がったように錯覚する。 俺はとりあえず答えた。 「子供、と」 返答して、――…ん? 何か変な電波を受信した。 今「駄目だこいつ」と言ったのは誰だろうか。 俺は唐突に受信した電波に疑問を感じ、顎に手を添えて思考に入った。
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