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その電波の受信を最後に、俺は死…………ななかった。軽い冗談だ。
実際は、物凄い勢いで額に飛んでくるペンをキャッチしただけだ。
物凄い勢いと言っても、現在の動体視力で見ればやはりスローモーションだな。
「…危ないな」
ふぅ、と被害者アピールとして息を吐き出す。
ペンを投げた張本人らしい幼女に、俺は尋ねてみた。
「もしかして、くれるのか?」
……………。
「やらんわ図々しい!!」
幼女の絶叫が、学園中を木霊した。
よくもまあ小さな体からこんな雷のような声が出るものだ。
幼女は大声の出しすぎで、ぜーはーぜーはーと肩で息をしている。
空気がびりびり振動するほどの叫びだったが、俺は直前に耳を塞いだので無事だ。
俺の勘はかなり役に立つな。
…しかし代わりに、ニール先生が被害にあい、両手で顔の横を押さえていた。
どうやら彼は耳が弱かったようだ。
「うぅ、鼓膜が、鼓膜がっ」
「大丈夫か?」
涙目のニール先生の様子を見ていると、床に足裏の付かない、体型と不釣り合いな大人用の椅子から飛び下り、幼女が駆け寄ってきた。
「ご、ごめん!」
謝ってニール先生の顔を覗き込み、先生の耳に手を翳す。
「ええっと……そう、【治癒】!」
幼女の手の平から出てきた、柔らかな白い光が耳を照らした。
ほぅ。確か、治癒や再生が使えるのは無属性のみだったな。
無属性というのは、この世界では火、水、風、土のどれにも属していない属性で、使用可能なのは「治癒・再生」と「結界」、「強化」。
世界の知識が正しければ、百人に一人の割とレアな属性だったはずだ。
まあ、俺も持ってはいるんだが。
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