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注文して数分もしないうちに、ベリータルトが運ばれてくる。 「お待たせいたしました。こちら、ベリータルトになります」 ことん、と小さな音を立てて目の前に置かれたお皿。ストロベリーやラズベリーが宝石のように光るタルトは昔から全然変わってなくて、とても懐かしい。 二人でいただきます、と手を合わせ、早速タルトをフォークで小さく切り、口に入れた。 口の中に広がるベリーの酸っぱさとカスタードクリームの甘さ。 味も全然変わってないや。 「宮本さん、一つ聞いてもいい?」 「何?」 「……みーちゃんって人は、宮本さんに取ってどんな存在だったの?」 どんな存在だったのか、なんて考えたこともなかったけど……。 きっと、 「大切な人、かな」 「……そっか」 そう言えば、間宮くんは凄く優しく微笑んでいた。 とくん、とまた心臓が高鳴る。 間宮くんには言ってないけど、みーちゃんは私の初恋の人。 ――みーちゃんの笑う顔が大好きだった。 ……間宮くんに恋したのは、みーちゃんの笑顔と間宮くんの笑顔がそっくりだったから、なんて言ったら。 間宮くんはどう思うのだろうか。 きゅう、と締め付けられた胸を無視するように、ベリータルトをまた口に放り込んだ。
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