11人が本棚に入れています
本棚に追加
「……十二月二十四日」
「え?」
「十二月二十四日、何か予定ある?」
十二月二十四日っていうと……クリスマス・イヴか。火曜日だけど、明日から冬休みに入るから学校は関係ない。
それに、彼氏がいるわけでもない私は特に予定はない。
「特にないですけど……」
「じゃあ、決まり。
十二月二十四日、少し俺に付き合ってよ」
ダメ? と首を傾げて聞いてきた彼に、思わず首を横に振る。
すると、彼は良かったと言って小さく笑った。
「じゃあ、十二月二十四日の正午に“アオイ”っていう喫茶店の前に来て。あ、場所分かる?」
「分かりますけど……」
「なら大丈夫だね。……あ、そういえば名前聞いてなかった」
「宮本、奈津美(ミヤモト ナツミ)です……。あの、間宮くんのことは知ってますよ」
そう言えば、彼は驚いたように目を見開いた。
……そっか、話したことないもんね。
もしかして、ストーカーとか思われたらどうしよう!?
そう思い立った私は直ぐに口を開いた。
「あ、ほら、間宮くんって学年一位でしょ? 頭良いって有名だから知ってたんだ!」
これは本当のことだ。
彼、――間宮 宏樹(マミヤ ヒロキ)くんは、頭が良くて有名だ。
……私が名前を知っていたのはそれだけじゃないけど。
最初のコメントを投稿しよう!