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時が流れるのは早くて、クリスマス・イヴがついに来てしまった。
私は、赤いチェックのワンピースを着て鏡とにらめっこの最中だ。
現在の時間は午前十時。
喫茶店アオイに行くには、私の家からだと電車に乗って三十分くらいかかる。
だから、十一時には家を出なきゃいけないんだけど……。
二時間前からずっと髪の毛を上げたり下ろしたりの繰り返しだ。
「あぁっ、もう、どうしよう……!」
ヘアスタイルが決まったのは結局三十分後だった。
試行錯誤して、ハーフアップにして毛先を内巻きにすることにした。
メイクはあまり濃いのはすきじゃないから、軽く眉を整えてピンクのグロスを塗るぐらい。
「……よし、これで大丈夫!」
にこ、と鏡の中に写る自分に笑いかけ、キャメル色のダッフルコートを羽織る。アイボリーのリボンがついたカバンも忘れずに持ったし。
しつこいかもしれないけど、もう一度、鏡を見て自分の姿を見直した。
……うん。
何か物凄く女の子らしくなっちゃった。
気合い入れすぎかな……?
あぁ、でも着替える時間なんてないし!
もうこれで大丈夫!
そう結論付けて階段を駆け降りた。
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