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「あら、そんなに可愛い格好してどうしたの?」
「うん、ちょっと出かけてくるー」
「そう。いってらっしゃい!」
「はーい。いってきまーす」
ニコニコと笑いながら手を振ったお母さんに手を振り返して、コートと同じ色のブーツに足を入れた。
ヤバい、時間ギリギリかも!
ケータイをカバンに放り込み、足早に玄関を出る。
外は突き刺すような寒さだけど、空は綺麗な青に染まっていた。
―――――
駅から歩いていると、喫茶店アオイの建物が見えてきた。
その前に立っている人物も見える。
「間宮くん!」
少し大きめな声で呼び掛けると、その人物は小さく手を上げた。
やっぱり間宮くんだ!
「ごめん! 待った?」
「大丈夫だよ。俺も今来たところだし。
中、入ろうか」
「うん!」
私が頷けば、間宮くんは笑ってドアを引く。
店員さんに案内されて席についた私たちは、テーブルの上にあるメニューを手に取った。
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