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「用意出来たよ」
リビングに戻って孝之に
声を掛けると彼は意外な言葉を
私に投げつけた。
「もっと可愛い服、
買ってやるからね」
「え?」
「ん?
だってその服、
もう3年くらい前に
買った服だろう?」
「…あ…嫌だった?」
「いや、似合ってるけどさ。
奥さんにはいつまでも
綺麗でいて欲しいからね」
やんわりと微笑みながら
言う孝之を見つめて思う。
…分からない。
孝之がどうしてこんなにも
冷静でいられるのか。
他の男に抱かれた私なのに
こうして今でも妻として
接する事が出来る彼が…。
「さ、行こうか」
笑いながら車のキーを掴んだ
孝之の背中を見つめながら
私は複雑な思いを
感じていた。
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