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孝之が家を出てから
もうじき4時間。
全く帰ってくる気配がない。
けれど私はただひたすら
孝之の帰りを
待つしか出来ない。
すっかり冷めた夕食に
かけておいたラップに
無数に溜まった水滴を
ぼんやりと見つめながら
ただコチコチと響く
時計の音を聞いていた。
深夜12時を回った頃、
ようやく玄関のシリンダーに
鍵が差し込まれる。
パタンと音を立てた
玄関の扉が閉じて、
車のキーが擦れあう
チャリチャリという音と共に
リビングへと戻った孝之は、
無言のまま私の向かいに
腰かけた。
しばしの沈黙の後、
真っ直ぐにその瞳を私に向けた
孝之がゆっくりと口を開く。
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