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「あぁ。これからよろしく。一緒に頑張っていこうな!」
右手を差し出して握手を要求する。
亜紀は一瞬迷った様子があったが同じく右手で応じた。
その手はとても小さくて、思っていたよりも冷たくて。
やっぱり亜紀は亜紀なりに緊張していたのかも、なんて想像した。
先輩の言っていた通りたしかに亜紀は可愛い。
ただそんな下心を抜きにしても、代役を引き受けた責任感が少なからずある。
こうなったら絶対に亜紀を志望校合格に導いてやる。
そう固く決心して、俺の家庭教師へのトライが始まった。
「あぁ。先に言っておきますが私の部屋に入るときは必ずノックをして返事があってから入ってください。着替えを覗いてしまった、みたいなお色気イベントはいりませんので。まあいかにもチェリーな先生にはそんな度胸もないでしょうが。たしかにそれくらいやらないと面白味が無い人間だとは思いますよ?ですがさすがに踏み込んではいけない領域というものがありましてですね。あ、すいません。もう踏み込んでいましたか?それならこんなとこにいる暇があったら早く自首することをおすすめします。」
………。
いつか、必ずコイツ、倒す。
握手をしながら長々と人をバカにした少女を目の前にして、
俺はさっきの決心よりも固いもう一つの決心をした。
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