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「どっちみち、このままじゃ敗北だ。おれにいかせてくれ」  敵は損耗度で勝っているため、防衛に努めているだけだった。時間切れの判定勝ちを狙っている。ジョージがいった。 「ぼくに4人。テルに12人を分けてくれ。先に海側から陽動をかける。戦闘開始から90秒したら、山から一気に駆(か)け下りて、テルには敵を殲滅(せんめつ)してもらう」  またひとり味方が狙撃手に倒された。ヘルメットから血が噴きだして、軍服の背中をべたりと濡らした。クニが叫んだ。 「おれはどうしたらいいんだ?」  タツオは声を抑えていった。 「5分間でいい、全弾を撃ち尽くし、弾幕を張れ。突撃隊の援護だ」  テルとジョージはディスプレイのなかで、突撃用の兵士を選んでいる。 「ジョージは実際の戦闘でも、そんな無茶をするつもりなのか? 海側の突撃隊は全滅の可能性が高いぞ」  ジョージはにこりと笑った。
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