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薄暗い霧の中で目が覚めた。
起き上がろうと思ったが、身体が痛くてできない。
仕方なく寝転がると、地面の上に寝ている事に気付いた。
そもそも、霧の中にいるのだから外だよな。
そう思いながら、痛みに耐えて身体を起してみる。
立ち上がって身体を確認して見ると、手も足も傷だらけで、着ている学生服も所々破れていた。
目覚める前の事を思い出してみる。
学校に行って授業を受けて、苛められるのが嫌で、早退をして何時もの公園に行こうと思って。
ああ。
そこで子犬を庇って、車に引かれたんだ。
致命傷となったであろう傷は無く、ただ破れた服があるだけで。
…此処は何処なのか。
霧に巻かれて辺りは良く見えない。
少し歩いてみる気になり、前に足を動かす。
一歩歩くと、チリンと鈴の音がした。
驚いてもう一歩足が出る。
足が地面に着くと、またチリンと音がした。
まさか自分が歩くたびに、音がするのだろうか。
そっと足を持ち上げて降ろしてみる。
チリンと鳴った。
子供のサンダルじゃあるまいし、歩くたびに音がするのか。
何だか溜め息を吐きそうになりながら、音を引き連れて歩くことにした。
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