金曜日の花火

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きらきらと輝く空を見上げながら、 質問を、やっと返せた。 「さっきのって?」 質問を質問で返し、 いつの間にか目の前に居た、 室井樹が近づいてくる。 「…私が、どうして、…教えなかったか」 手を伸ばさなくても届く距離で、止まった。 花火に重なる、 かちんと固まった、何を考えているか分からない顔。 まっすぐな視線に、顔を下に向けた時だ。 「ムカついたから」 小さな低い声と、頬に触れる熱い指先。 「結婚する事に、ムカついたからだよ」
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